成東・東金食虫植物群落とは


成東・東金食虫植物群落
成東・東金食虫植物群落は、九十九里平野のほぼ中央に位置し、山武市島(旧成東町)と東金市上武射田にまたがって広がっています。
大正9年(1920年)日本で初めての天然記念物に指定されました。これまでにおよそ300種以上にものぼる植物が記録され、現在でも8種の食虫植物をはじめとして、たくさんの貴重な植物が生育しています。平成18年1月に旧指定地だった約1.4ヘクタールが追加指定されました。現在の面積は約3.2ヘクタールです。

天然記念物指定当時の群落地

成東・東金食虫植物群落は大正 9年7月、日本で最初に天然記念物指定を受けました。当時の報告書によれば「一帯は湿潤なる沼野にして、特異の湿生植物多く、中でも肉食植物(食虫植物) が種類に富み且つ多数自生するところは稀であり原型のまま保存すべき」「殊に八月頃はナガバノイシモチソウ一面に生じ葉毛より盛んに分泌せる粘液は日に輝 き銀色を呈し・・初夏の頃はノハナショウブ・・秋には秋の七草の類繁茂して恰も自然の花園の観を成せり」とうたわれています。
指定基準によると「代表的な原野植物群落」と「珍奇または絶滅に瀕した植物の自生地」です。

群落の成り立ち

成東・東金食虫植物群落九十九里平野は湿地と砂丘が交互に海岸線と平行して並んでいます。土壌は砂質で有機物や腐植に乏しく、多くは酸性です。沼や湿地が多く残されていて湿生植 物や食虫植物の宝庫と呼ばれていました。
近年は湿地の消滅が著しく、かろうじてこの群落地がおもかげをとどめています。
また、群落地は作田川の堤防の修理に使う砂取り場や芝剥ぎ場として、利用されてきました。そのため絶えず人の手が加えられ、大きな植物の生育が抑制されてきました。
その結果、食虫植物など草丈の低い植物が生育する群落地になったと考えられます。

多くの人々による保護活動

群落風景天然記念物に指定6年後の大正15年に牧野富太郎博士は「食虫植物数年を経ずして絶滅か」と、人手が入らなくなり、チガヤなどが勢いを増している状況に対して、[植物研究雑誌]で警告文を発表しました。
第2次大戦後、何度か保護増殖のための委員会が設置され、対策が講じられてきました。地元保護団体の長年にわたる努力と近年は市民ボランティアの活動もなされていますが、乾燥化対策などまだ十分な結果が出ていません。

豊かな植物相

2000年からの調査で約350種の維管束植物、34種のコケ植物の生育が確認され、環境省作成レッドデータブック記載種が維管束植物24種、コケ植物3種あります。
また、現在この群落地内だけで生育が確認されているコケ植物が2種あります。
遺伝資源としても極めて貴重な群落であることが改めて明らかになりました。

この貴重な群落地をいつまでも

食虫植物をはじめ、春のハルリンドウ、トキソウ、初夏のノハナショウブ、秋を飾るリンドウ、ウメバチソウ、ヤマラッキョウなどのほかに、小さく目立たない多くの植物も生育しています。
九十九里平野の原風景を保っているこの群落地を皆様と共に次世代に残しましょう。